Main Content

副院長ご挨拶 Message


大阪市立総合医療センター 副院長
(兼)循環器センター長
(兼)循環器内科部長
成子隆彦



HISTORY - 略歴 -

1985年・・関西医科大学卒業
1985年・・大阪市立大学医学部第一内科研修医
1988年・・多根総合病院内科医員
1990年・・ツカザキ記念病院循環器内科部長
1994年・・アムステルダム大学(オランダ)心臓病理学教室研究員
1996年・・大阪市立総合医療センター循環器内科医長
2005年・・大阪市立総合医療センター中央臨床検査部部長
2009年・・大阪市立総合医療センター循環器内科部長
2009年・・大阪市立大学大学院循環器病態内科学臨床教授
2014年・・大阪市立総合医療センター循環器センター長
2023年・・大阪市立総合医療センター副院長


認定医・専門医

日本内科学会認定総合内科専門医
日本内科学会認定教育施設指導医
日本循環器学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医
日本心血管インターベンション治療学会専門医認定医制度指導医
日本心臓血管内視鏡学会認定医


評議員・代議員

日本循環器学会(FJCS特別会員)
日本循環器学会近畿支部(評議員)
日本内科学会近畿支部(評議員)
日本心臓病学会(FJCC特別会員)
日本冠疾患学会(理事、FJCA特別会員)
日本動脈硬化学会(評議員)
日本心臓血管内視鏡学会(理事)


MESSAGE - メッセージ -

 当院の特徴は、開設以来心臓カテーテル治療による虚血性心疾患の治療を中心に行っています。近年の心臓カテーテル治療の進歩はめざましく、カテーテル治療器具(いわゆるデバイス)の進歩により治療成績の向上し合併症も著しく低下しています。特に薬剤溶出性ステントの出現によりこれまでのカテーテル治療のアキレス腱でありました再狭窄も減少傾向です。今後、予防や再発防止をめざして、入院および外来で心臓リハビリテーションを積極的に行っています。薬剤抵抗性の閉塞性肥大型心筋症に対して、肥大心筋を栄養している中隔枝にバルーンカテーテルを通して選択的に高濃度エタノールを注入、心筋に凝固壊死を起こすことで左室流出路狭窄を解除し、圧較差が改善する経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA) を2018年から開始し、これまで23例施行し良好な成績を収めています。2019年8月からインペラ(IMPELLA)補助循環用ポンプカテーテルをいち早く導入し、低心機能患者の心臓外科の術後や心原性ショックを伴った重症急性心筋梗塞症の対応を積極的に行っています。
 近年、増加傾向である重症下肢虚血を含めた末梢動脈疾患の治療も積極的に行い、年々増加し、昨年は208例施行しています。本年度は、当院の総合病院としての機能を生かし糖尿病内科、腎臓高血圧内科、総合診療科、皮膚科、形成外科、整形外科と連携し下肢救済センターの設置に向けて準備を行っていきたいと思います
 不整脈治療においては、2008年開始しましたアブレーション治療は、持続性心房細動に対する冷凍凝固アブレーションの適応追加に伴い、初回治療における冷凍アブレーションの割合が56%と半数以上となりました。冷凍アブレーションによる手技時間短縮に伴い、より多くの患者様の治療を行うことができ、アブレーション件数も増加し、年間368例に達しています。デバイス治療については、ペースメーカ植込み後の患者様の心機能低下を減らすべく、2019年より刺激伝導系ペーシング(左脚領域ペーシング)を行っております。この左脚領域ペーシングはペースメーカ治療のトピックの一つとなっており、当院から多くの情報を発信し、手技見学も受け入れています。また2020年10月から心原性脳塞栓症予防の予防治療である左心耳閉鎖システム(WATCHMAN)を用いたカテーテル治療、2021年8月から潜因性脳梗塞に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術を開始しています。
 弁膜症治療については、2015年12月2日付けで大阪府下6施設目となる重症大動脈弁狭窄症の新しい治療法である経カテーテル的大動脈弁置換術 (Transcatheter Aortic Valve Implantation: TAVI) の施設認定を取得し、2016年4月から循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線科、臨床工学技士、看護師で構成される「TAVIチーム」が中心となって開始し、2023年4月までに大きな合併症なしで、377例に到達しています。本年度から透析例の大動脈弁狭窄症のTAVIも開始予定です。また僧帽弁閉鎖不全症に対しては、2021年7月1日付けで大阪府下7施設目となる経皮的僧帽弁クリップ術 (Mitral Clip)の施設認定を取得し7月から開始、すでに20例を開始しいます。
 慢性心不全の患者さんに対して、2017年6月から、心不全患者の再入院を、減らす試みで始まった「大阪心不全地域医療連携の会」の開催など、今後、超高齢化に伴い、近年増加している心不全患者の管理について、医療機関の枠を超えて地域全体で治療する体制が整いつつあります。
 当院のもう一つの特徴は、心臓血管外科、救急救命センターと緊密な協力下、循環器センター直通電話(ハートライン)を通じて、24時間体制で循環器救急診療に対応しています。2018年4月から、これまで各階に分散していた重症病棟が、新たに4階に集中治療センター(ICU, CCU, ECU, HCU、P-ICU 計40床)として集約され稼働しています。
 毎週行っている循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線科、臨床工学技士で構成されるハートチームカンファレンスでは、個々患者さんにもっとも最善な治療法を検討しています。さらに当院の総合病院としての特徴を十二分に発揮して悪性疾患や腎不全を初めとした合併症をもつ循環器疾患の治療を関連診療科と緊密に連携をとりながら積極的に取り組んでいます。今後も、これまで同様地域医療機関との連携強化に努め、どのような心血管疾患に対しても最先端の循環器医療を身近に提供できるよう、なお一層努力したいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします。