心臓カテーテル部門
心臓カテーテル治療 (PCI) は、コロナ禍で減少したものの、徐々に増加、下肢治療 (EVT) は引き続き増加傾向です。虚血評価目的のFFR (冠血流予備量比) を86例、心筋生検を55例施行しています。2016年4月より開始しました経カテーテル的大動脈弁留置術 (TAVI) 58例施行しています。閉塞性肥大型心筋症に対する経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA) を5例施行しています。昨年から、多量の血栓を含む急性心筋梗塞病変やステント再狭窄病変に対してエキシマレーザ冠動脈形成術(ELCA)を開始し良好な成績を収め、2021年7月から開始した僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療 (MitraClip) 12例、同年8月から開始した卵円孔開存閉鎖術は10例施行し、それぞれ良好な成績を収めています。
不整脈治療部門
持続性心房細動に対する冷凍凝固アブレーションの適応追加に伴い、初回治療における冷凍アブレーションの割合が56%と半数以上となりました。冷凍アブレーションによる手技時間短縮に伴い、より多くの患者様の治療を行うことができ、アブレーション件数341件となっています。心房細動症例に対するクライオバルーンアブレーションは有効かつ、安全、手技時間も短いことが知られていますが、治療する肺静脈の解剖(血管径など)により適応できない場合もありました。昨年、新たに導入したBoston社製のクライオバルーンシステムはバルーン径を現行の28㎜から31㎜への拡大が可能となっていますので、クライオバルーンの適応となる症例が増えることが期待されます。
デバイス治療については、当院では、2019年より刺激伝導系ペーシング(左脚領域ペーシング)を行っております。ペースメーカ植込み後の心機能低下を防ぐだけでなく、左脚ブロックを伴う低左心機能例に対する治療としても、両室ペーシングを上回る成績が報告され、現在、大変注目されています。この有効な手技を安全に広めるために、情報発信や、他施設からの手技見学も行っています。
昨年、エキシマレーザーシステムを導入し、当院でもリード抜去術が可能となりました。昨年、後半からリード抜去を開始し、3例ですが合併症なくリード抜去を達成できました。ペースメーカポケット部の感染やペースメーカ植込み例での菌血症などはリード抜去の適応となります。
心臓超音波検査部門
コロナ感染症もようやく落ち着き、心臓超音波検査数は、10608例まで増加、経食道エコー検査365例となっています。弁膜症については、他のどの施設よりも精度の高い診断を行っていると自負しています。
不整脈診療 2023年集計
疾患名 |
症例数 |
心房細動/心房頻拍・心房粗動 |
308例 |
発作性上室性頻拍 |
18例 |
心室期外収縮、心室頻拍 |
15例 |
房室結節アブレーション |
0例 |
2023年検査および手術件数 実績 (2023/1/1-12/31)
検査・手術内容 | 件数 |
新規入院患者数 | 1753件 |
冠動脈造影検査 (PCI等は除く) | 572件 |
冠動脈インターベンション (PCI総数) | 382件 |
緊急PCI | 116件 |
待機的PCI | 266件 |
EVT (末梢動脈形成術) | 265件 |
経皮的中隔心筋焼灼術 (PTSMA) | 5件 |
経カテーテル的大動脈弁置換術 (TAVI) | 58件 |
経皮的僧帽弁クリップ術 (Mitral Clip) | 12件 |
カテーテルアブレーション | 341件 |
永久型ペースメーカー植え込み術 (リードレスペースメーカ含む) | 87件 |
経静脈植え込み型除細動器 (TV-ICD) | 11件 |
完全皮下植込み型除細動器 (S-ICD) | 5件 |
両室ペーシング機能付植え込み型除細動器 (CRT-D) | 9件 |
両心室ペースメーカー (CRT-P) | 10件 |
植込み型ループ式心電計 (ILR) | 4件 |
左心耳閉鎖システム(WATCHMAN) | 4件 |
経皮的リード抜去 | 3件 |
経皮的卵円孔開存閉鎖術 | 10件 |
トレッドミル運動負荷心電図 | 54件 |
ホルター心電図 | 1280件 |
イベントホルター心電図 | 180件 |
経食道エコー | 365件 |
経胸壁エコー | 10605件 |
心臓核医学検査 | 425件 |
心臓MRI | 55件 |
心臓リハビリ | 183件 |
冠動脈CT | 689件 |
TAVI CT | 115件 |
心筋生検 | 53件 |
下大静脈フィルター留置 (一時的、永久型) | 3件 |
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